フュガシティの計算と収束判定

液相、気相それぞれのzファクターを求めることができれば、(60)式にEOSパラメータや与えられた既知の条件とともにそれらを代入して、各相の成分ごとのフュガシティを計算することができる。計算したフュガシティについて、

(89)   \begin{equation*} f_{iL}=f_{iV}, \quad \forall{i} \end{equation*}

という関係が成り立てば、平衡条件を満足していることを意味するが、EOSフラッシュ計算では液相と気相のフュガシティの差がある微小な誤差の範囲内であれば、平衡状態と判断して計算を終了する。その微小な誤差のことを許容誤差toleranceまたは収束条件convergence criterionと呼んでおり、通常10-4~10-6くらいのオーダーの数字を入力する。すなわち、計算機的には次のような条件を満たせば計算が収束したと見なすことになる。

(90)   \begin{equation*} \left| \frac{f_{iL}}{f_{iV}}-1 \right| <\epsilon \end{equation*}

ただし\epsilonは収束条件である。厳しい収束条件を与えるほど正確な平衡状態を求めることができるが、実験の有効数字を考えるとせいぜい6~7桁程度の精度が保証できればよいだろう。