相の境界と濡れ性

相同士(例えば油と水など)の境界には界面と呼ばれる特別な面が形成される。界面は界面張力という力のもと、あたかも薄く弾力性のある膜のようにふるまう。なお、界面張力は実測可能な量である。界面はゴム風船の表面に例えるとイメージしやすい。

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界面張力が可視化できる一つの方法としては、試験管に水を入れて眺めてみればよい。

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この場合、空気と水の間にあたかも膜のような境界を見ることができる。図中の赤い点を三重点、θを接触角という。この場合、空気の方が水よりも圧力が少し高くなっていることが後々分かるのだが、風船のように膨らんでいるから空気の方が圧力が高いと覚えておけば間違いない。

ある平らな面に接触している水滴を考える場合も同じような考え方ができる。つまり、以下の図のように接触角と三重点が定義できる。

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この接触角は水滴が載っている物質が空気と比べてどのくらい濡れやすいか、つまり水と親和性がよいのかを表している。この親和性は濡れ性wettabilityと呼ばれており、石油工学の多相流計算では鍵になる性質である。θ ≃ 0°になる場合は完全な水濡れ性perfect water wetと呼ぶ。濡れ性なる性質はどのように決まるのだろうか? 実は大変複雑で、流体の化学的組成、図形的性質topology、どのように流体が入ってきたかの履歴、表面の粗さなどに依存すると言われている。