ここでは、少しバックレイ・レバレット解法の例題を解いてみたいと思う。以下に3種類のフラクショナルフロー曲線を挙げた。これらの飽和率分布をそれぞれ求めていく。すべて油相を水攻することを仮定している。
- 1:S型
フラクショナルフロー曲線がS字を描いている一般的な場合に水攻を実施すると、ショックフロントと希薄波による特徴的な置換挙動が観察される。
水のブレイクスルータイムはフロントの速度vsを用いて
と求まる。
- 2:下に凸
すべての領域で速度律に違反しており、ただ一つのショックフロントを持つ置換挙動となる。圧入条件においてもっとも速度が速くなるため、たとえ初期のショック形状が不完全な形であっても、時間がたつにつれショックが鋭くなる自己先鋭波self-sharpening waveである。このタイプは置換効率が100%に達し、最も望ましい置換プロセスと言える。
- 3:上に凸
すべての領域で速度律を満たしているため、純粋な拡散波として置換挙動が現れる。つまり、置換プロセスにおいてショックは出現せず、すべての速度がフラクショナルフロー曲線の傾きから直接求めることができる。この場合、水の先端が非常に速く進むため、水のブレークスルーは早期に訪れる。したがって、効率が悪い置換プロセスと言える。