仮定2はエントロピー最大の原理principle of maximum entropyと呼ばれるものである。
系のある一部を切り取って定義される任意の部分系iのエントロピーは、(9)式にそれぞれ値を代入して以下のように得られる。
(11)
これは平衡状態が均一であれば自明だが、不均一な場合でも成り立つ。
ここで、S(i)をすべての部分系について足し合わせたものを以下のように表す。
(12)
与えられた条件下ですべての部分系が平衡状態にあって、かつŜが最大になるとき、そしてその場合に限り複合系は平衡状態にある。そのときの複合系のエントロピーはŜの最大値に等しい。これがエントロピー最大の原理である。これは現象を説明した法則ではなく原理であり熱力学の基本的な要請のひとつである。