排出過程によって一端非濡れ相で置換されたコアを、濡れ相で置換しなおす過程を浸潤過程imbibition processと呼ぶ。浸潤過程では排出過程とは逆に濡れ相を押し込んでゆくので、小さな孔隙から埋まってゆくことになる。なぜなら岩石と濡れ相はできるだけ大きな表面積で接触していたからである。濡れ相は壁に沿って自発的に入っていくので、非濡れ相を押し出すために必要な圧力は急激に下がってゆく。つまり、浸潤過程の毛細管圧力曲線は排出過程で辿ったものよりもかなり下を通ることになる。すると、毛細管圧力が0に戻ったとしても、濡れ相飽和率が1まで戻らず、中途半端な値が浸潤過程の終点になるということが起こる。
これはどういうことだろうか。実は、濡れ相は岩石との親和性がよいため、下図の赤い流れのように岩石表面ばかりを流れるようになり、非濡れ相が孔隙の中心に取り残されるという事態が起きているのである。これをスナップオフsnap-offと呼び、非濡れ相がトラップされた、などとも言う。これらの非濡れ相は隣の孔隙と切り離されてしまっているのでもはや動くことができない。
また、濡れ相の流路が一度確立すると、そこばかりを流体が流れるようになり、他の経路が放棄されることも起こる。こちらはバイパス化bypassingなどと呼ばれる。
このように、浸潤過程では排出過程とはまったく異なる流路が確立するため、必然的に毛細管圧力曲線の形状も異なるのである。