ガロン,バレルを使う。1バレル=42ガロン、1ガロン=4クオート=8パイントであり、SI単位系に直すと1ガロン=231立方インチ=3.7854リットル、1バレル=158.987リットルとなる。
バレルはよく石油の容積・生産量・埋蔵量を表現するときに用いられるのでリットルに換算した値を覚えておきたい。だいたい家庭の風呂桶一杯分くらいが1バレルとイメージすると覚えやすい。バレルはbblなどと略記されるが、特に常温常圧で原油タンクに貯蔵されている油の容積を表現するときは、貯留層状態での油の容積と区別してストックタンクバレル(STB)という。石油関係以外でバレルという単位は日本であまりなじみが無いが、ガロンもお目にかかる機会が極めて低い。かろうじて輸入品のエンジンオイルがガロン単位で販売されているが、あとはホテルや飲食店にある飲み放題用のドリンクディスペンサーがガロン単位で販売されているくらいである。なお、実験室で試薬の保存などに用いる取っ手のついた瓶を俗にガロン瓶と呼ぶことがあるが、日本で使用されるものは容量がSI単位系で3リットルとなっている。ちなみにダイハード3ではマクレーン警部補が、なぜか容量3ガロンと5ガロンの瓶を使って4ガロンの水をぴったり計量せよ、と要求される場面が出てくる。水5ガロンはそれだけで18.9キログラムなので、容器と合わせると20キログラム程度となる。それを持ち上げたり降ろしたりするとなると、やわな人なら腰を悪くしそうだ。
さて容積の単位の話に戻すと、石油開発業界ではガロン・バレルのほかに天然ガスの容積を表現する立方フィートcubic foot(複数形だとcubic feet:略称cf)なる単位もよく用いられる。さまざまな接頭辞がついて普通に使われるので備忘録的に以下にまとめておく。
scf(standard cubic foot) :標準立方フィート。60°F,1 atmでの気体の体積を示す。
Mcf(thousand cubic feet) :千cfのこと。scfと組み合わせてMscfなどとも使う。
MMcf(million cubic feet) :百万cfのこと。scfと組み合わさるとMMscf。以後同じ。
Bcf(billion cubic feet) :十億cfのこと。あまり見ない。
Tcf(trillion cubic feet) :兆cfのこと。ガス田の埋蔵量を表すのに頻出。
Qcf(quadrillion cubic feet) :千兆cfのこと。少なくとも今まで一度も聞いたことない。
石油会社でしばしば当たり前のように使われて、新入社員を悩ませるのはMMcfとTcfである。1 MMcfは100万cfであるが、SI単位系の値に直すと約28,317m3である。これは例えばある典型的なガス田のガス井1本をフル生産させた際に1時間で産出するガスの量とだいたい等しい。小中規模ガス田の一日あたりのガス生産量は例えば30~100 MMcf程度となるため、オーダー的にちょうどいいためよく使われる。一方TcfはMMcfの百万倍であり、ガス田の埋蔵量を評価するのに適した大きさの単位になっている。目安として覚えておくとよいので列挙すると、埋蔵量1 Tcf前後のガス田はだいたい国内の主力ガス田クラスで、10 Tcfを超えるとかなりの大ガス田、100 Tcf以上になると世界のトップ10に入る巨大ガス田となる。